お米づくり

無農薬でお米を育てる理由

僕は現在新規就農し、農薬も化学肥料も使わない方法でお米を栽培しています。

そしてそれを今ではナリワイの一つにすることができました。

数多く、栽培方法がある中、「なぜお米を無農薬で育てているか」についてお話させていただきます。

結論

結論はとってもシンプル。

「自分が食べたいと思う、うまいお米を作りたい」

と思ったから。ただ、それだけなんです。

なんか、「体調がおかしくなったから」とか、「大切な誰かのために」みたいな大それた理由じゃなくてすいません・・・笑

では、「自分が食べたいと思う、うまい米」とはどんなお米か。

それは農薬も使わない、化学肥料も使わない、もっと言うと肥料も使わないお米でした。

これは自分が農業の世界に入っていく過程で、だんだんと確立されたものでした。

農業と出会う

会社を辞めて、次何しようかな〜と考えていて、たとどりついた答えの一つ「食の自給」。

これを実行するべくいろんな人に「田んぼやりたい!」と伝えていました。

幸い、同じ考え方や価値観が似た人は身近にいるもので、とある友人から「こんなところあるけど一緒に行ってみない?」というお誘いを受けたことが全ての始まりです。

訪れたのは農業法人。地域から預かった田んぼをまとめて耕作する法人でした。
2013年当時約30町歩(≒30ha≒30,000㎡)ほどを請け負っていました。

3日間ほど稲作の現場を見させていただき、また、実際に作業を手伝わせていただいたことで、自分の興味はどんどん大きくなりました。

「へーー、お米ってこんな風に作られているんだ」
「田んぼってこんな仕組みなんだ」
「農業機械っておもしろい!」

などなど全てが新鮮で衝撃的で抑えられないほどの興奮を今でもはっきり覚えています。

ちょうど人手も不足していたタイミングも重なり、初めて訪れた農業法人でしばらく働くことになりました。

これまでの人生でほぼ毎日お米を食べてきましたが、そのお米がどこでどんな風に育てられているかなんて考えもしませんでした。

しかし、自分が育てる側に立つことで少しずつその意識は変わっていきます。

農薬の衝撃

田植えから稲刈りまで全体像が見え、2年目に突入するといろいろなことが見え出しました。

今までは指示された作業をいかに効率良くこなすかという点しか見れていませんでしたが、2年目になるともっと冷静に「作業の意味」や目の前で起きていることに目を向けることができるようになりました。

え?種の段階から農薬漬けなんだ・・・

冬が過ぎ去り、いよいよ次の田植えに向けて準備が始まる頃。

師匠:「まずは種を消毒するからこの薬入れておいて」

こんな一言で渡されたボトル。

見るとやっぱり農薬。

種の準備段階からすでに薬に浸けて消毒されているということを、初めて知った瞬間でした。

苗になっても農薬を上からかけて、田植え後は水田に除草剤をまいて、ザリガニが大量に発生してしまったら薬で処理をし、夏にはラジコンヘリで上から農薬散布。

しまいには稲刈り後の米の倉庫にも虫除けの薬。

結局は種から収穫後までずっと農薬漬けであることがわかりました。

当然ですが、使っている自分としてもとても気持ちいいものとは言えません。

目の前でたくさんの生き物たちが死んでいきます。

オタマジャクシ、カエル、ザリガニ、ホタル。

もっと言うと田んぼの中のたくさんの微生物。

正直、落ち込みました。

これが通常で「慣行栽培」と言われている現実。

スーパーで売られている米=自分が普段食べている米はこのように育てられていることを知らなかった自分にただただ驚きました。

同時に「なんで今まで知らなかったのだろう?」
と疑問に思ったことも覚えています。

 

薬で消毒
除草剤

自分の食べたい米をつくりたい

ま、落ち込んでいても仕方がないので、だったらそうじゃないやり方ってできないのかな?と思うようになりました。

いろいろ調べると、無農薬でお米を育てる方法はいろいろありそうです。

実際にやっている方もいるということが、本やネットでわかりました。

大きな問題点は2つ

・草対策
・販路を開拓する

もう、いろーーんことを差し置いて、とりあえずこの2つさえクリアすれば生産して販売までできそうな気がしました。
(もちろん、簡単ではないので別途書きます)

とりあえずやってみる

とにかく、できる道がありそうならとりあえずやってみよう!!!

そんなノリでやってみました。

耕作放棄地はたくさんあるので、仕事とは別に、無農薬でチャレンジする田んぼを別で借りて普通の仕事もしながら、無農薬で育ててみました。

方法は独学です。

今できることを最大限やってみました。

そしたらできました!笑

もちろん、最初は販売目的ではなく、「自給用」なので収量もへったくれもありません。

草対策もままならず、収量は2.5俵/反(普通の農家さんの約1/3)程度でした。

でも忘れらないのは味です!

最初の一口目、おいしすぎて「え!?」と言ってしまったことは今でも忘れられません。

育てていて気持ちいいやり方でしかもうまい!

環境の維持もできて、生き物がたくさんいる田んぼを作ることができてしかもおいしい。

こんなうれしいことはありません。

これがやりたい方向性かもしれない。

心も体も地球も笑顔になれる米の始まりです♪

 

いつのまにかナリワイに

まずは少し売ってみる」から始まり、いつのまにか需要がどんどん高まり、自分以外の人のお米も育てるスタイルになっていきました。

今では年間60名程度の方に食べていただき約90%の方にリピートをいただいています。
今までは少量しか生産できていなかったためfacebookで、ごく身近な人限定で販売させていただいておりましたが、今後は少しずつ範囲を広げていきたいと考えています。

やはり、「うまい」の言葉を直接聞くことができるのは何よりの喜びです。

まとめ

まとめると僕が無農薬でお米を育てる理由は大きく2つ。

  • 自分で食べたい米を育てたい
  • 食べたいと言ってくれる人に届けたい

もちろん、現在に至るまで簡単ではありません。

そして今も試行錯誤中です。

そのあたりのお話も別途、少しずつ書きたいと思います。