落花生

【写真でわかる】落花生の栽培方法、育て方

「落花生って食べたことあるけど、どうやって育てているの?」

実はこの質問、よくされるんです。

産地の近くに住んでいらっしゃる方でなければ、落花生の栽培方法なんて見たこともないですよね。

また、家庭菜園やプランター菜園をされている方や、これからしたいと考えいてる方にとっては、「自分でも育てられるのかな?」と思うかもしれません。

落花生を家庭で栽培するのは条件さえ整えば、実はそんなに難しい作物ではありません。

何かと疑問をもたれることが多い落花生。

千葉県で農薬も肥料も使わずに落花生を栽培している農家の僕が

  • 落花生ってどんな作物?
  • 落花生はどうやって育てているの?
  • 家庭菜園、プランターでもできる?

という疑問についてお答えします。

落花生ってどんな作物?

落花生がどんな作物かという概要をここで解説します

いつ種まきで、いつ収穫なの?

これから家庭菜園やプランター栽培を考えている方はまずこれをチェック!

タイミングが今からでも間に合うのか検討してみてくださいね。

  • 種まき 5月〜6月中旬まで
  • 収穫  9、10月

ちなみに僕が住んでいる千葉県の栽培スケジュールはこのようになります。

落花生の栽培スケジュール

千葉県の場合の例なので各地域の気候や標高によって、多少の差があることをご理解ください。

どんな落花生があるの?主な5品種と特徴

一言で「落花生」と言っても実はいろいろな種類があります。
ここでは代表的で僕自身が栽培したことのある品種5つをご紹介いたします。

品種名主な食べ方特徴
千葉半立
(ちばはんだち)
煎り落花生と言えばこの品種を知っている方も多い、千葉県を代表する高級品種。高価。小粒で深く強い甘みが特徴。栽培は上級者向け。
ナカテユタカ煎り、茹で粒は大きめでさっぱりした甘み。茹でても煎ってもおいしい万能型。千葉半立より栽培しやすく、収量も多いため初心者向き。
おおまさり茹で粒は特大で約2倍の大きさ。茹で専用品種。掘り立ての新鮮なほどおいしい。株が大きくなるため広さが必要。
郷の香茹で、煎り茹で用として育成された品種だが煎ってもさっぱりした甘みでおいしい。ナカテユタカに似た特徴を持つ。
Qナッツ煎り2018年デビューの千葉県の新品種。体験したことのないミルキーな味わいでとてもおいしかった。種が一般の方は入手困難なため家庭菜園には不向き。

みなさんはどの落花生を食べたことがありますか?

薄皮を一緒に食べよう!ポリフェノールがある落花生

落花生はたくさんの栄養をもっています。

落花生の薄皮にはポリフェノールが多く含まれ、生活習慣病の予防に効果があるといわれています。

ミネラルも豊富で、ビタミンEやビタミンB1,B2,B6,などが多く含まれています。

善玉コレステロールである、オレイン酸も多く、悪玉コレステロールを減らす働きがあり、高血圧や便秘の改善に良いと言われています。

  • 生活習慣病の予防に効果がある「ポリフェノール」
  • ビタミン等の「ミネラル」が豊富
  • 悪玉コレステロールを減らす働きをする「オレイン酸」

収穫量全国1位は「千葉県」作付け面積で約80%

落花生の名産地と言えば千葉県。

なんと作付け面積は約80%を占める圧倒的な生産量。

当然、収穫量も全国1位は千葉県です。

落花生の作付け面積の推移

出展:農林水産省Webサイト※グラフを一部加工

茹で落花生が千葉県民の定番!主な食べ方5つ

「茹で落花生」というものを食べたことはあるでしょうか。

時々、居酒屋のお通しや、メニューにも載るようになりつつあります。

産地に住んでいる方にとっては、新鮮な落花生を塩茹でして食べる茹で落花生が定番となっております。

特に茹で専用品種の「おおまさり」はとても人気ですが、農家さんの手間がかかることや、畑の面積を大きく使うため、多くは流通しません。

 

① 煎り落花生通常よく言う「落花生」の状態でさやごと煎ってあるもの。
スーパーで見かけるのは中国産が多い。
② ピーナッツ殻から出ていて煎られているもの。
バタピーになったり、柿の種のアクセントになったり。
③ ピーナッツバターピーナッツの加工品。
アメリカでは日本よりなじみ深い食べ物。
④ 茹で落花生掘りたてを新鮮なうちに塩茹でし、「ほくほく」と食べる。鮮度が大切なので産地ならではの食べ方。千葉県民の定番。
⑤ 自家焙煎上級者になると、殻付き状態の生落花生を買い、自分で殻を剥いて、フライパンで焙煎。煎りたてを楽しめます。

 

落花生の実は土の中でなっている

落花生を掘り上げた時の様子(千葉半立)

本当によく聞かれる質問。

落花生ってどうやってなってるの?

実は落花生は土の中で実をつけているんです。

僕の畑に来てくれる人は、そのことすら知らなかったと驚く方もいます。

普通に生活していたらなかなか見る機会はありませんよね。

みなさんは土の中にできること、知っていましたか?

写真でわかる落花生の栽培方法

ここでは、農家がやっている基本的な落花生栽培の流れを説明します。

僕の場合は、農薬も肥料も使わないため一般的な方法とは異なる部分がありますが、おおまかな流れは同じです。

  1. 畑を耕す
  2. トラクターでビニールマルチを張る
  3. 種を撒く
  4. 通路の草管理をする
  5. 株元の草取りをする
  6. 花が咲く
  7. ビニールマルチをはがす
  8. 土寄せ
  9. 収穫(茹で落花生用)
  10. 株をひっくり返して乾燥第一弾
  11. 「ぼっち」に積んで乾燥第二弾
  12. 脱穀(業者に出荷する場合はここで終了)
  13. 煎り用落花生乾燥第三弾
  14. 焙煎、袋詰め
  15. 完成
トラクターで耕耘 (5月)
マルチを張り、手で種まき(6月中旬)
通路に管理機かけ草対策(6月下旬)
マルチの際の草取り(7月上旬)
株元の草取り(7月上旬〜8月中旬)
落花生の花(7月下旬)
マルチ剥がし(7月下旬)
土寄せ(8月上旬)

 

落花生の乾燥1(10月上旬)
ぼっちの風景 (10月中旬)
落花生の脱穀
焙煎用落花生の追加乾燥(乾燥3)
焙煎、計量、袋詰め
煎り落花生 完成

おおまかですが簡単な流れはこのようになります。

【初心者向け】落花生栽培は家庭菜園もプランターでもできる

落花生は農家のような広大な畑がないと育てられないということはありません。

今住んでいる家の庭にある家庭菜園の畑や、マンションのベランダでプランターを使って栽培することも可能です。

まずはチャレンジしてみたい!
という方のために簡単に始められる方法をお伝えします。

用意するもの

  • プランター

この3つがあれば簡単に始めることができます。

種は楽天やアマゾンをはじめ、落花生専門店で購入することができます。

品種に迷ったら「ナカテユカタ、郷の香」がおすすめです。

栽培も比較的簡単で、茹で落花生にも煎り落花生でもおいしく食べることができます。

種まきの方法

ナカテユタカの場合、成長すると約直径40cm、高さ20cm程度の円形の株になります。
これをふまえて撒く場所、プランターを選定してください。

家庭菜園の場合

できるだけ陽当たりがよく水はけのいい場所を選んでください。

幅50cm 高さ10cm程度の畝を作ったら株間30cm程度で一粒ずつまきます。

発芽が心配な場合は2粒でもかまいません。

発芽して本葉2本くらいの時期に間引きます。

本葉が2本の時期 発芽して3日目くらい

プランター

できるだけ底が深いプランターを選びます。

落花生の株は円形状に成長するため、円形のプランターがおすすめです。

栽培管理方法

いずれの場合も草に負けないよう最低限の草の管理はしてください。

家庭菜園の場合

花が咲き、子房柄と呼ばれるツルが土に伸び出したら土寄せをしてあげます。

プランターの場合

プランターでは土寄せができないため、土を足してあげます。

子房柄と呼ばれるツルが伸びます

よくある失敗例と原因

・発芽したが、成長が遅い → 陽当たりが悪い

・成長が止まってしまった → 種まきの時期タイミングが遅い

・実はなったけど、ぶよぶよに腐っている →水はけが悪い

どれか一つでも当てはまってしまうと実がつくまで成長することが困難です。

意外とむずかしい落花生の収穫タイミング

自分も失敗経験がある収穫のタイミング。

これが早すぎると食べてもおいしくなかったり、収量が少なかったりします。

また、遅すぎると茹で落花生の場合、実が硬くなってしまいます。

煎り落花生では、株を掘り上げてもさやが土の中に残ってしまい、収穫ができなくなる恐れもあります。

要するに早すぎても遅すぎてもよくありません。

ではどのタイミングがいいか。

とても簡単にお伝えすると

<茹で落花生>
・殻に網目が出始めている
・きれいなピンク色の実がなっている

<煎り用落花生>
・株の下の葉っぱが落ち始めた

このタイミングで大きなズレはありません。

さやに網目がつきはじめた→茹で落花生用収穫OK
下の葉っぱが落ち始めた→収穫OK

塩ゆでがおすすめ 落花生のおいしい食べ方

自分で栽培することの1番のメリットはなんといってもこれ。

「茹で落花生が食べられる」ということ。

農家さんの手間がかかるうえに、本当においしい食べ頃はたった3週間程度。

時期が限られるため千葉県内でも流通量はそれほど多くありません。

スーパーでもよく「完売しました」の張り紙を見かけます。

でも自分で育てればもちろん食べることができます。

食べ方は簡単、塩茹で30分です。

【落花生の茹で方】

  1. 落花生の泥を落とす
  2. 鍋に落花生を入れ、しっかり浸る量の水と塩を加える
  3. 塩分濃度の目安は海水より少し薄い程度(好みにもよる)
  4. 茹で時間は水から茹でて、沸騰してから約30分
落花生塩茹で中
できあがり

自家採種の方法は殻のままで保存する

無事に収穫ができ、その種を来年にまた使う方は、落花生をとにかく乾燥させます。

焙煎できるまで乾燥させたものをさらに追加で天日干しで、2,3日程度乾燥させると良いです。

これで発芽率が大きく変わってきます。

種落花生を天日干ししている様子

落花生の連作挑戦中 3年目はどうなる

よく落花生は連作はできないとききますが、自分の場合は少し特殊な方法で栽培しているため本当かどうかはわかりません。

落花生はもともと地面の中に種を残す生き物。

土ごと流される川の氾濫にのって生息域を広げていた。

と聞きますが、それでも簡単に連作障害が起きていたらすぐに絶えてしまいます。

農薬も使わず、肥料も使わず、連作をしたらどうなるかの実験を2019年も細々とやってみたいと思っています。

商品紹介

僕が農薬も肥料も使わないで育てた落花生をご紹介したいところですが、あいにく現在、2018年収穫分はおかげさまで完売となっております。

申し訳ございません。

次回の販売は「ピーナッツバター」を予定をしております。

時期がきましたらこのブログでもご案内させていただきます。

ショップページはこちら

農薬も肥料も使わないで育てた落花生のぴーなっつバター

まとめ

千葉県では大きな畑で栽培することの多い落花生ですが、自分で食べる用であれば家庭菜園やプランターでも気軽に育てられる作物です。

発芽する時は両手を広げながら土から出てきたり、夜になると葉っぱを閉じて眠ったりもするかわいいやつです。

自分で育てるとそんな姿も間近にみることができるのが醍醐味です。

興味がある方はぜひ挑戦してみてくださいね。

落花生の発芽