みなさんが普段食べているお米はどのように育てられているかご存知ですか?
「米」という字をよく見ると「八、十、八」から成り立っていますよね。
(ちょっと無理があるというつっこみも理解できます)
漢字からお米づくりは「八十八」(88)の工程から成ると言われています。
そんなの昔の話じゃない!?
と思いますが、よく考えると88の工程くらい余裕であります。
ここで自分の経験を元に「お米づくりの88の工程(現代版)」をまとめてみることにしました。
あくまでも僕自身の5年間の経験に基づいた工程となっています。
農法はさまざまであり、人によってやり方もフローもタイミングも異なりますが、お米を育てるという意味ではこの大きなフローは変わることはありません。
また、作業時間はどれくらいの負荷がかかるかの指数程度でお考えください。
あくまでも1人でやった場合の目安の時間です。
準備や片付けの時間も含みます。
<前提条件>
・耕作面積 1町歩
・一切の農薬、除草剤を使用しない
・化学肥料を使用しない
お米づくりの88の工程(現代版)
番号 | 作業内容 | 所用時間 [h] |
---|---|---|
1 | 田んぼ 暗渠(あんきょ) 工事 | 56 |
2 | 田んぼ 水路の泥上げ 排水路掃除 | 56 |
3 | 田んぼの水平 土移動 | 16 |
4 | 種の唐箕かけ | 4 |
5 | 育苗ハウス内 草刈り 掃除 | 6 |
6 | 育苗ハウスの水平出し | 6 |
7 | 床土の準備 | 3 |
8 | 種 のげ取り | 4 |
9 | 種 塩水選別 | 4 |
10 | 種 温湯消毒 | 6 |
11 | 種 浸種 | 1 |
12 | 種 催芽機で芽出し | 2 |
13 | 種 広げて乾かす | 3 |
14 | 種まき機 設置 | 6 |
15 | 育苗機 組み立て | 12 |
16 | 育苗ハウス プール育苗用 シート張り | 8 |
17 | 種まき | 24 |
18 | 育苗機で保温 5mmほどの芽が出る | 1 |
19 | 苗出し 苗を育苗ハウスに並べる | 1 |
20 | 育苗ハウスの温度管理 | 15 |
21 | 育苗ハウスの水管理 苗の観察 | 15 |
22 | 田んぼ 畔草刈り 1回目 | 12 |
23 | トラクター アタッチメント交換 あぜ塗り機セッティング | 3 |
24 | 田んぼ あぜ塗り | 32 |
25 | あぜ塗り機 洗車 メンテナンス トラクターから取り外し | 2 |
26 | 田んぼの山際の木材片付け 燃やす | 18 |
27 | 水閘(すいこう)のチェック 常時排水パイプの立ち上げ | 8 |
28 | トラクターアタッチメント交換 ドライブハロー メンテ 動作確認 | 3 |
29 | トラクター 代掻き用車輪取り付け | 1 |
30 | 田んぼ 入水用パイプの設置 | 4 |
31 | 田んぼ オーバーフロー用パイプの設置 | 8 |
32 | 田んぼ 水入れ 用水始動に合わせる | 2 |
33 | 代掻き 荒代掻き | 18 |
34 | 代掻き 植え代掻き | 16 |
35 | 苗運び | 16 |
36 | 田植え機 動作確認、メンテナンス | 2 |
37 | 田植え機 回送 | 1 |
38 | 田植え | 18 |
39 | 補植 | 24 |
40 | 苗箱洗い | 8 |
41 | 苗箱 片付け | 3 |
42 | 育苗ハウス プール育苗用シート片付け | 6 |
43 | 田んぼ 水管理 ★田植え後毎日★ | 50 |
44 | 田んぼ 水漏れ対応 穴あき対応 ★田植え後毎日★ | 30 |
45 | ドライブハロー 洗い 取り外し メンテナンス 片付け | 3 |
46 | 車輪洗い 取り外し 片付け | 2 |
47 | 田植え機 洗車 メンテナンス | 3 |
48 | 動力付き 除草機 メンテナンス、動作確認 | 1 |
49 | チェーン除草 1回目 (2人作業) | 64 |
50 | チェーン除草 2回目 (2人作業) | 64 |
51 | チェーン除草 3回目 (2人作業) | 64 |
52 | 動力付き除草機 1回目 | 30 |
53 | 動力付き除草機 2回目 | 30 |
54 | 動力付き除草機 3回目 | 30 |
55 | 手除草 1回目 | 60 |
56 | 手除草 2回目 | 60 |
57 | 手除草 3回目 | 60 |
58 | 田んぼ あぜ草刈り 2回目 | 20 |
59 | 田んぼ あぜ草刈り 3回目 | 20 |
60 | 田んぼ あぜ草刈り 4回目 | 20 |
61 | 田んぼ あぜ草刈り 5回目 | 20 |
62 | 田んぼ あぜ草刈り 6回目 | 20 |
63 | 溝切り機 メンテナンス 動作確認 | 1 |
64 | 田んぼ 落水 中干し開始 | 3 |
65 | 田んぼ 溝切り | 12 |
66 | 田んぼ 草取り ヒエ、ヒレタゴボウ | 30 |
67 | 田んぼ あぜ草刈り 7回目 | 28 |
68 | コンバイン メンテナンス 動作確認 | 2 |
69 | コンバイン 回送 | 1 |
70 | 軽ダンプ あおり取り付け | 1 |
71 | ライスセンター 動作確認 メンテナンス | 12 |
72 | 稲刈り 籾運搬 (2人作業) | 100 |
73 | <ライスセンター> 計量 乾燥 | 6 |
74 | <ラインすセンター> もみすり 計量 袋詰め パレタイズ | 12 |
75 | 軽ダンプ あおり取り外し | 1 |
76 | 色彩選別 袋詰め | 24 |
77 | 米倉庫に搬入 | 3 |
78 | すとーりー(栽培履歴)作成 | 8 |
79 | すとーりー印刷 入稿 印刷発注 (ラクスル利用) | 1 |
80 | 情報発信 予約販売 | 3 |
81 | 米袋作成 筆文字 ハンコ押し ラベル作成 ラベル貼り | 8 |
82 | 手紙書き 宛名データ入力 宛名ラベル印刷 | 40 |
83 | 請求書作成・印刷 封筒に手紙、すとーりー、請求書を折って入れる | 20 |
84 | 段ボール組み立て 内容を入れる、確認、集荷依頼、発送の連絡 | 20 |
85 | 精米 5ぶづき 7ぶづき 白米で対応 | 10 |
86 | 袋詰め 30kg袋 → 3kg,5kg,10kg | 30 |
87 | お客様 データリスト編集 発送履歴、入金 | 8 |
88 | 入金確認 入金確認の連絡 | 3 |
89 | 二番穂刈り モアで粉砕 | 12 |
89 | 田んぼ 耕耘 表層5cm目標 | 24 |
90 | ライスセンター掃除 メンテナンス | 24 |
あ、88超えてしまった。。
いやー、自分で見てもよくがんばってますね笑
主要な時間がかかる工程をざっとあげただけですが、これくらいの工程をこなしていることになります。
除草剤も一切しようしない方法のため、やはり「草刈り」「草取り」の負担が大きいことがわかります。
今回やってみて「メンテナンス」という言葉も多くあることに気がつきました。
稲作では多くの機械を使用するため、機械の整備、メンテナンス、動作確認にかける時間も
想像以上にあったことがわかりました。
それぞれの作業内容の詳細については少しずつアップしていきます。
詳細の作業についてはリンクになっているので、興味がある方はぜひご覧ください。
やってみて気づいたことまとめ
特に注目しなければいけないのはこの2点。
①草刈り、草取りの負担がかなり大きい
②機械整備、メンテナンスの負担が大きい
機械整備は必要不可欠なので対策はほとんどできませんが、草刈り、草取りは様々な方法、技術があるためまだまだ削減の余地はありそうです。
というか削減しないと、体力的に限界です笑
このように課題が見えたのはとてもよかったです。
たったの「5%」田植え稲刈りの比率
お米づくりと言えば「田植え」や「稲刈り」をイメージする方も多いと思います。
イベントも人が集まりやすいのはだいたいこの二つです。
せっかくリストになったので全作業量に対しての「田植え」と「稲刈り」の比率を単純に算出してみました。
その結果がこちら!
田植え関連作業 → 1.2%
稲刈り関連作業 → 3.8%
田の草取り関連 → 42.2%
草刈り関連 → 8.4%
という結果となりました。
注目すべきはこの2点!
- 田植えと稲刈りは合わせても全体の5%程度
- 草取り、草刈りで51%
とはいえ、自分の体感とほぼ同じでした。
でもこのことを、田んぼに見学やお手伝いにきてくれる人に伝えると、ほとんどの方が驚きます。
もちろん、除草剤を使うとこの数字は大きく減るため、高齢化や大規模化に伴い、使わないと成り立たないということもおわかりいただけるかと思います。
私はまだこのやり方でなんとかやれていますが、正直このやり方は体力と時間を著しく消耗するため経営という意味ではとても難しいということが現実です。
しかし、ここであきらめるわけにはいきません。
少しでも多くの人に、求めてくれる人がいる限り、継続してお届けしたいという気持ちは変わりません。
まだまだ、わからないことだらけ。
失敗だらけ。
試行錯誤しながらやりたい方法と経営を両立させられる道を模索中です。
応援していただけたらうれしいです!
ブログの趣旨
唐突ですがここでブログの趣旨確認をさせていただきます。
このブログはあくまでも田んぼや農業初心者さん向けに
・お米はどんな風に育てられているか
・「無農薬」で育てるとはどういうことか
についてわかりやすく説明するブログです。
自分の記録もかねてますが、田んぼも農業もまったくやったことない
という人が少しでも興味を持ってもらえるような場にしたいと思っております。
プロの農業者さんはあたたく見守っていただけるとうれしいです。。
また、もし同じような方法でお米づくりをしている方がいれば、前向きな情報交換をさせていただけたらうれしいです!