88の工程

動画と写真でわかる田んぼの畔塗り

ここでは田んぼの畔塗りについてお話します。

これから田んぼを初める人や初心者でもわかりやすいように、写真と動画を使って説明します。

こんな人におすすめの記事です。

  • 畔塗りについて知りたい
  • どうやって畔を塗っているかを知りたい
  • 畔塗りの写真、動画を見てみたい

畔とは「田んぼの境界にある土手」のこと

友人を田んぼに案内すると、「そもそも畔って何?」という質問もよく受けます。

漢字からイメージしていただくとわかりやすいのですが、「田」を「半」分にするものなので、田んぼと田んぼの間にある土手です。

土を盛って、水をせきとめている田んぼの境界になっている部分ですね。

畔の読み方は「あぜ」または「くろ」と読みます。

「あぜ」≒「くろ」ですが、「あぜ」はそれに加えて自転車が通れるくらいの大きな道を言う場合もあります。

「くろ」は人が一人歩けるくらいの幅の、田んぼの境界。

と、言った感じです。

そう言われてみると、「あぜみち」とは言いますが、「くろみち」って言わないですもんね。

この部分が畔になります。

田んぼの畔

畦塗りとは土を塗り固めること

畔を土で塗り固めて作り直すこと

1年に1回おこなう畔の修繕作業になります。

「あぜぬり」と言ったり「くろつけ」と言ったりします。

千葉ではあまり使いませんが「あぜつけ」と言う地域もあるようですね。

畔塗りは貯水機能の維持管理のため

田んぼの水を貯める機能を維持するため

畔は「田んぼの水を貯める」という大きな役割があります。

1年経つとあぜは、草の根っこやもぐらの通り道になっていたりすることで、もろく弱くなっている箇所があります。

そのような箇所が一箇所でもあると、そこをきっかけに水が漏れて決壊する恐れもあります。

もし田植え後に田んぼの水が漏れて、土が空気に触れてしまうと、草が出やすくなってしまいます。

そのようなことが、田植え後起こらぬように、あぜを修繕し、水を堰き止める機能を復活、維持させるためにおこないます。

同時に土だけのきれいな土手にすることで、あぜぎわの水漏れを発見しやすくするという意味も含んでいると、僕は考えています。

草が生えていたり、表面がでこぼこの畔だと、水が漏れていても見つけづらいです。

この時期にしっかり畔を作ることが後々の作業効率に大きく響いてきます。

具体的に何をしてるの?

畔塗りは土を塗り固めるということはわかったけど、では具体的にどんな風にしているのでしょうか。

畔塗り機ではこのような工程をやっています。

  1. 上面を軽く削りとる
  2. 今の畔をほぐす
  3. 円盤部分で塗り固める

見ているととても不思議ですが、これで畔が塗られていきます。

当然、昔はこれを手でやっていました。

鍬で水を含ませた土をこねて、畔にあげて、塗り固めて行く作業です。

考えるだけでも腰がいたくなりそうですね。

どんな方法があるの?

大きく分けて2種類あります。

「機械で塗る方法」と「手で塗る方法」をご紹介します。

機械で畔塗り

機械が進み、ほとんどの農家さんはトラクターに畦塗り機というアタッチメントをつけて機械でおこないます。

畔塗り機がどのようなものかを写真と動画でご紹介します。

まず、これが畔塗り機になります。

トラクターにつけてある状態です。

畔塗り機

こちらが実際に畔を塗っている様子の写真です。

円盤が回転することで、土を押し付けて塗っていきます。

畔塗りの様子
トラクター側から見た様子
塗った直後の畔

土の表面がきれいですね。

この時にいかにまっすぐ塗ることができるかが大きなポイントになります。

そしてそれは、トラクターを運転する腕次第になります。

まっすぐ塗れないと、あぜの強度にむらが出てしまったり、田植えや草刈りの時の動きが複雑になってしまいます。

畔塗りの様子が動画でわかるようにしましたのでご覧ください。

手で畔塗り

これは僕が田んぼの応急処置として、小さな畔を作った時の動画です。

通常の畔塗りとは異なりますが、やっていることは同じで、土を盛り、水を堰き止める土手を作っています。

まとめ

少しだけ田んぼの畔塗りについて、知ることができたでしょうか。

  • 畔塗りは田んぼに水を貯めるために必要
  • 今後の作業効率を大きく左右する大切な仕事
  • いかにまっすぐ塗ることができるか

今は機械で畔を塗ることができますが、田植え後に畔が壊れてしまった時や、もぐらに穴を空けられてしまった場合は手で修復する必要があります。

昔ながらの方法もできるようにしておくと、どんな時も対応できる力が身につけることができます。

昔からの農家さんを見ていると、本当にできることが多いなとしみじみ思います。

そんな農家さんが「あたりまえにできること」を自分の「あたりまえ」にできるよう、少しでも多くのことを学んで身に付けたいと思っています。

それこそが、それが自分の考える生きるチカラであり、「百姓」の姿であると考えています。