お米づくり88の工程のNo.3「田んぼの水平 土移動」について説明します。
この工程はかなり地味ですが、年間を通すとかなり重要な位置付けの作業になります。
特に無農薬で栽培する場合、これがしっかりできているか、できていないかで、今後の作業量が大きく変わります。
もしこれから無農薬で田んぼをやってみたい!という方がいたら参考にしてみてくださいね。
Contents
田んぼを水平する目的
目的はズバリ一言で言うと「地面から水面の高さを均一にするため」です。
均一じゃないと起こること
- 地面が高い所は水がかかりにくい
- 地面が低い所は深くなりやすい
ということです。
田んぼが水平ではないってどういう状態?
言葉にすると、浅く水を張った時に、地面が水面より上に出てきてしまうという状態です
これだとわかりづらいので写真で見るとこうなります。
失敗すると草管理が大変、苗が沈没する
まず知っておきたいことは、水が張れない、空気に触れやすい所は草が出やすいということ。
草が発芽するきっかけは「光」「水」「空気」が揃った時です。
田んぼに水を張る目的として、この1つ、「空気」を遮断することで、草を発芽させにくくするということもあります。
さて、地面が平らじゃないと、このようなことが起きます。
<パターン1>
地面が高い所が水面から出てしまっている
↓
草が出やすくなるからもっと深くする
↓
地面が低い所の苗が沈没
↓
成長が遅れる。深さによってはそのままとろける。
<パターン2>
苗が水面より下になってしまって沈没している。おぼれそう。
↓
苗を守るために、田んぼの水をもっと浅くする
↓
地面が高い所は空気中にさらされる
↓
高い所に草(ヒエ)が出て、管理が大変に
このように想像するだけで恐ろしい事態に。
これも経験して学んだことです。
草が出るとどうなる?
田んぼが水平ではなかったため、草が出てしまった田んぼの例です。
ここまで草が出てしまうと、この後の工程「田植え」ができないので、代かきをもう一度やり直す必要があります。
水平にする方法
単純に水平にすると言ってもこれがまた難しいんです。
高価なレーザーや、機械があればそれなりに対応できるかもしれませんが、新規で就農し田んぼを始めた僕にとって、そんな道具は夢のまた夢。
身近にあるものでなんとかできる方法を考えなければなりません。
自分の場合、幸い、お世話になっている法人でユンボが借りれるので、このユンボを使って土の移動をしました。
逆に言うと、田んぼを借りた時の状態が、ユンボで運ばなければいけないほど、田んぼの水平は出ていませんでした。
耕作放棄地の田んぼを借りましたが、管理がされていなかったため、最初はこのようなメンテナンスが必要な場合もあります。
ユンボで土の表面をゆっくり削って低いエリアへ運びます。
その時の様子はこちら。
その他、水平にする方法の例
機械さえあればこのようなレーザーを使った方法や、土の運搬機を使った方法もあります。
とある業者の方から田んぼの高低差計測を依頼された。
GPSとRTK受信機付きのトラクターで計測! pic.twitter.com/IUAEELUsAJ— 勝部 隆司 (@mosumosudandan) 2017年4月21日
またジャンク品で
とんでもない便利道具を再生させてしまった(笑)これで楽に 田んぼの高低差を 補習出来る! pic.twitter.com/7mNSojao2y
— はるもにちゃん (@aoiaoiaoish) 2019年1月13日
水平にすることの難しさ
よし!できた!と思い、春になり、田んぼに水を入れると・・・
がーーーん。
ぜんぜん平らじゃない・・・笑
こんな失敗だらけです。でも最初よりも高低差は減っている!
土を平らにするにことは想像以上に難しいものです。
水を入れたら、今度は代かきで平らにするという方法があるので、その場その場でできることをやっていきます。
田植えが始まったらもう手のほどこしようがありません。
この季節からは次の年に向けて
どこが高いのか
どこが低いのか
の目印を立てていきます。
自分の場合は水が張られているシーズン中はどんなに覚えていても、稲刈りシーズンになると忘れてしまうため、竹の棒を立てるようにしています。
どのくらいの精度で平らにする必要があるの?
目標としたら±5cmといったところでしょうか。(甘め!)
±3cmにできたら、安心して、水の管理ができるレベルという感覚です。
レーザーを使ったプロの土木工事はどれくらいの精度でやっているのでしょうか。気になります。
最初から完璧は難しいため、自分の場合は毎年少しずつ改善するという気持ちでやっています。
運ばなければいけない土の量も年々減るはずです。
2019年はユンボは稼働せず、一輪車で少し土を運ぶ程度になる見込み。
こうした毎年の管理が少しずつ田んぼを良くしていくのですね。
完成した時が楽しみです!
まとめ
以上、田んぼの水平、土の移動についてお話しました。
- 田んぼの水平は草の管理につながる
- 土を水平にすることは難しい
- 毎年少しずつ改善を重ねる
今年の田んぼはどれくらい平らにできるか。
またこのブログで試行錯誤を随時報告していきます!