88の工程

写真と動画でわかる田んぼの代掻き

ここでは田んぼの代掻きについてお話します。

お米作り88の工程でいう33、34の工程になります。

これから田んぼを初める人や初心者でもわかりやすいように、写真と動画を使って説明します。
ベテラン農家さんにとっては少し物足りない内容かもしれませんが、地域性や土の質の違い、やり方の違いなどを感じていただけたらうれしいです。

こんな人におすすめの記事です。

  • 代掻きについて知りたい
  • どうやって代掻きをしているかを知りたい
  • 代掻きの写真、動画を見てみたい

代掻きとは田んぼを平らにならすこと

田んぼをドロドロの土にして、平らにならすこと

「代掻き」と書いて「しろかき」と読みます。

普段から田んぼと縁がない方にとっては耳慣れない言葉かと思います。

春が来て、畔塗りが終わり、田んぼに水が入る季節になるといよいよ代掻きです。

代掻きの次がいよいよ田植えですが、この田植えのしやすさや、田植え後の田んぼの管理の効率を大きく左右するとても重要度の高い作業になります。

ここで田んぼをいかに平らに、水平にすることができるかが大きなポイントになります。

これさえうまくいけば、8割は成功したようなもの。と言っても過言ではないほど大切な作業になります。

簡単に言うと、大きく分けて2つのことをしています。

  1. 田んぼの土を水と一緒にかき混ぜて、表面をトロトロの土にする
  2. 田んぼを表面を平らにする作業のことを言います。

耕耘した後の田んぼの土はまだ、こぶし大くらいの大きさの土の塊になっています。

ここに水を入れて、かきまぜることで土が砕かれて、濃い泥水のような状態になり、表面がトロトロの田んぼができます。

「代掻きの目的」何のためにやるの?

  1. 田植えをしやすくする
  2. 田んぼを平らにする
  3. 田んぼの水もちをよくする
  4. 草をリセットする

大きく4つのポイントに分けることができそうです

①田植えをしやすくする

田んぼを耕しただけの状態は、こぶし大の土の塊になっているだけです。

この状態で田植えをすると、苗がしっかりと土の中で固定することができず、倒れやすくなってしまいます。

倒れてしまうと、土の中で根を張ることが遅れてしまいます。

表面をドロドロの土にすることで、苗が植えられた時に「立ちやすく」してあげるという目的があります。

②田んぼを平らにする

一言で「平ら」と言ってもここでは2つの意味があります。

1つはただの土の凸凹をなくすという意味です。

これは単純に土の塊が水を含んでドロドロになると解決する問題です。

2つめは「田んぼの水平」をとるということ。田んぼ一枚規模で考えたときに、高いところと低いところの差が限りなく小さくなっている状態が理想です。

これだとわかりづらいですね。

写真をお見せするとこのような状態です。写真は田んぼの水平がとれていない状態です。

田んぼの水平が出ていない(左側が高い)
田んぼの水平が出ていない (一部が高い)

ここで冬の間に作業をした、土の移動が大きくきいてきます。
ある程度移動しておいた土を代掻きすることで、その成果がここでやっと見えてきます。

田んぼの水平や土の移動についてはこちらも参考にしてください。

③田んぼの水もちをよくする

代掻きをして、土の粒子を細かくすることで、田んぼの地下へ染み込む量を減らし、水持ちをよくする働きもあります。

特に田んぼの外周は水漏れが起きやすいため、中よりも丁寧に代掻きをします。

④草をリセットする

代掻きをすることで多少の草であれば、土の中に埋め込まれてしまうため、草はゼロにすることができます。

苗は植えられた瞬間から草との勝負!

草の方が成長スピードが早いため、最低限「草がゼロ」の状態からスタートさせてあげることが、苗に対してこの時にできる最大限の応援になります。

特に除草剤を使わない方法で栽培する場合、このスタートがとても大切です。

「代掻きの方法」具体的にどうやるの?

  1. トラクターの代掻き専用のアタッチメント「ハロー」
  2. 耕す時に使用するアタッチメント「ロータリ」

ここでは農家がやっている代掻きの方法についてお話します。

トラクターという車に代掻き専用のアタッチメント「ハロー」という機械を取り付けておこなうのが一般的です。

ハローがなければ、耕耘時に使用する「ロータリ」でも代掻きをすることができます。

ハローの方が爪が短く、浅く、広く土をかき混ぜることができるので効率的です。

ハローをトラクターに取り付けた時の状態はこちら。

ハローを取りけた状態

 

ではここで、このトラクターがどんな風に代掻きをするか、動画をご覧いただきます。

代掻き中に「あ、ここが高くて、ここが低いな」というのがわかってしまった場合、機械に負荷がかからない程度にこのように土を移動することもあります。

ハローを回しながらバックして、高いところから低いところへ土を押して少しでも平らになるよう調整します。

代掻きのコツ

  1. 適切な水の量でおこなう
  2. 田んぼが深くならないよう工夫する
  3. 時々体を左にねじる

適切な水の量でおこなう

代掻きは適切な水な量がなければおこなうことができません。

多すぎると田んぼの高低差がわからないし、少なすぎると土をうまくかき混ぜることができずトロトロの土にすることができません。

適切な量の判断として、耕耘した状態の田んぼの土全体が、水面に出るか出ないかくらいのヒタヒタの状態です。

例えばこんな感じ。

ちょうど良い水の量

もう少し水が多くあってもいいかなという感じではあります。

逆に少なすぎる例としてはとこんな感じ。

代掻きするには水が足りない

水が足りないまま、代掻きをしてみるとどうなるか。

「水っ気の多いただの耕耘」になります☆ (^_^;)

水っ気の多いただの耕耘

これはマネしないようにしてくださいね。

田んぼが深くならないよう工夫する

田んぼに水が入った状態でトラクターで走り回るということは田んぼにも負担をかけていることになります。

特に、土の質が湿田で深くなりやすい田んぼは、トラクターが旋回(向きを変える)するときに、タイヤが土を掘り返して深くさせてしまう場合があります。

乗っていて「やばい」という感覚は経験で養う必要があります。

土を掘り返さない工夫としては、バックで旋回するという技術もあります。

時々体を左にねじる

これは冗談のようですが、けっこう本気です笑

1日中代掻きをしていると、トラクターに乗りながら、右に振り返り後ろの状態を確認している姿勢が続きます。

ずっと右を向いているため、寝違えたような状態になっていまいます。

時々、気が付いたときは体を左にねじったり、ストレッチすることが大切です。

機械も自分の体も大切に使いましょうね。

まとめ

少しだけ田んぼの代掻きについて、知ることができたでしょうか。

いかに水平を出すことができるか

代掻きにポイントはただ1つ、この「水平」につきると考えています。

ここでいかにしっかりと基礎を作ることができるか。これで1年が決まってしまいます。

僕が稲にしてあげられることは「舞台を整える」ということ。

この「舞台」さえ、しっかり整っていればあとは、勝手に土と太陽と水が稲を育ててくれます。

そんなイメージで日々、田んぼと向き合っています。